第2位となり、ソナタ賞も受賞したイタリア人のアレクサンダー・ガジェヴは父からピアノ指導を受けて育った。サッカーは野蛮なスポーツだとやらせてもらえなかった、と語っていた。2015年、20歳の時に浜松国際ピアノコンクールで優勝した実力の持ち主で2021年ショパン国際ピアノコンクールにも挑戦した。「ピアニストである前に音楽家でありたい」「音楽は哲学である」「ショパンの作品には‘’水’のイメージを強く感じる」と語っていた。もう立派な大人、余裕を感じたが、本当は精神状態はぎりぎりだったよう。1つ本番が終わると同じイタリア人のレオノーラ・アルメリーニと酒場でお酒を酌み交わしたり、語り合ったり、発散している様子が印象に強く残った。
第5位のレオノーラ・アルメリーニは当時29歳。18歳でショパンコンクール初挑戦後、2度目の挑戦。年齢的にも最後のチャンスでした。これまでに色々な経験をしてきたことがうかがえる人物像。ピアノのタトゥーを入れたい、とかお酒を飲みながら言っていたのをガジェヴがたしなめていたことが印象に残っている。身体つきはふくよかで、とても朗らか。大声で笑い、大声で話し、天真爛漫なイメージ。それくらい図太くないと勝負の舞台では勝てないのだろうと感じました。
コンクールは新しいピアニスト発掘の登竜門。ピアノが好きというだけではピアニストとして生き残れない。ピアノはスポーツみたいに勝ち負けではない。万人受けすることが必要なわけでもないけど、クラシックピアノという長く続いた歴史と伝統を継承するための基礎・基盤と説得力が必要で、その上に魅力・個性があってピアニストとして生計を立てられるから、ただ上手だけでは厳しい。私も、この人の音楽を聴きたい、と思える人なら遠くでも出かける。ただ上手い、だけでは出かけようと思わないから
今年の第19回ショパン国際ピアノコンクールも魅力的なピアニストが発掘されて楽しみです。
個人的には第5位ヴィンセント・オン君(マレーシア)、第4位桑原志織さん(日本)、入賞していないけど中島結里愛さん(日本15歳)の演奏を聴きたいです。15歳の中島さんはこれからどうなっていくのか、とても興味があります。
(完)
